Terashima Design Co.

こんな軽い経営方針で許される?

経営方針って、社会貢献とか、グローバル展開とか、財務体制の強化、みたいに具体的な目標のようなものが多いだろうけど、もし尋ねられたら「毎日をワクワクして過ごす」と言うことにしてる。朝起きて、「今日は何を作ろうかな」なんて、会社に行くのが楽しみになったりしたら、こんなに幸せなことはないよね。売上げや利益は大事なんだけど、それは楽しい仕事のあとからやって来るものなんだと思う。特にデザインはものを作る仕事だからやっぱり楽しまないといい結果にならないし、人を喜ばせられないから。もちろんいろんなクライアントがいるし、自分を100%出し切れる案件ばかりじゃないけれど、そんなときでもなるべく楽しめる部分を見つけて最大限に自分の爪あとを残すようにできればよしとしてる。

事務所のスタッフたちも同じように働いてくれてたらうれしいけど、どうしても僕がダメ出ししちゃうので、社歴の短い人ほど楽しさ以上に苦しさはあるだろうな。違うものは違うって、そこははっきり言うのでね。でも僕は長所伸展法が好きなので、なるべく欠点を指摘しないようにしてる。苦手なことって本人が一番良くわかってるので、そこにフォーカスさせても自信を失うばかりな気がして。だから人より面白かったり上手だったりする部分を見つけて、そこをちゃんと褒める。でも本気でそう思えないとダメなので、中途半端に褒めたりはできない。

僕のところにやってくる人は、もともとモチベーションが高いし、必ず何かしらの武器を隠し持っている。最初は気づかないことも多いけど、作ってるうちにふっと見えてくるのが面白い。見つけたら活かせる仕事をお願いする。たとえば手描きの文字が得意なら、それが使える仕事を頼んだり。もともとうまくできるから、仕上がりは十分にお客さんを喜ばせられるんだね。それで何が起こるかっていうと、本人が自信をつけることになる。これを何度か繰り返すうちに「自分もデザインで人の役に立ててる」って意識になるし、当初「できなかったらどうしよう」なんて平常心を失っていたところから、リラックスした状態に変わっていく。そうなると不思議なもので、「苦手だったこともできるようになりたい」って自ら取り組んだりする。冷静で落ち着いた精神状態は人をやる気にさせるんだね。ここまで来るとあとは勝手に上達。僕にはできないようなデザインが上がってきたりしてね。これがうれしいような悔しいような。