パッケージデザインおたく
15年ほど前、北海道の農業を応援するようなデザインがしたいと思いはじめ、人に会うたびにそれを口に出して言っていたら、なぜだか食品の仕事が増えていって今に至っている。
最近はブランディングという言葉を多く耳にするようになったけれど、その中でも自分はパッケージデザインが好きなんだとつくづく思う。アートディレクターという肩書きよりグラフィックデザイナーと名乗りたいのも、直接手を動かしたいからなんだろうね。パッケージデザインは表示する内容も多くて手間がかかるから、若いころはあまりやりたくないと思っていた仕事なのに、今は作りたくて仕方なくなってる。不思議なものだね。
パッケージデザインは第一印象を作る仕事。中身がどんな雰囲気なのかをその商品に合わせて表現する。ポイントは競合する商品と顔つきが違っていること。つまり差別化。初対面で気になってもらえたらきっと買ってくれるけど、食べてみておいしくなかったら2度目はない。パケ買いは1回きりだからね。デザインの役割もそこで終了。
でも今までデザインしてきた商品はおいしいものや新しい視点のものが多くて何度も買ってもらえるからホントにありがたい。売れ続けるとデザインの寿命も長くなるのでね。商品がおいしくてリピートしてくれたら、食卓で何度も目にすることになるので、そのときに気持ちのいいデザインであることを意識しているけど、着飾った感じの装飾的なデザインにはなかなか気持ちが向きづらい。まあもともとアーティスティックなものを作るのが苦手なんだけどね。商品の良さが伝わるなら「デザインをしないデザイン」で全然いいと思っている。ミニマルで質素が好きなんだよなあ。