とあるスキンケアブランドのパッケージデザインを依頼された。白をベースに超シンプルにしてほしいというオーダー。一般的に化粧品のパッケージは文字量も少ないので、小さな文字でバランス良くレイアウトすればいいだろうと思ったんだけど、やりはじめてみるとやっぱり中身のことや使い勝手が気になって。使ってる人の気持ちにならないと感情移入がむずかしいからね。もういい歳だから世代的にも化粧品になんて全く興味を持ったことがないし、知識ゼロの状態。これじゃあ自分でも納得できないので勉強してみることにした。
だいたいスキンケアなるものの概念もわからなかったので、まずは妻にヒアリング。だけど聞けば聞くほど余計にわからなくなってしまって。なのでネットでメンズコスメのランキングなんかを検索してみた。今時はすごく種類があるんだね。やってみなくちゃはじまらないし、いろいろ迷ったけれど、オーガニックで肌に良さそうなものを中心に注文することに。
とりあえず、洗顔、化粧水、乳液のスキンケア基本3点セットを使ってみた。洗顔は文字通り石けんで顔を洗うことなのでもちろん理解できる。次の化粧水っていうのがよくわからなかったんだけど、少量を手のひらに伸ばして顔全体にあて、浸透させるんだね。スタッフに聞くと5秒ぐらい同じ場所にあてて染みこむのを待つらしい。やってみたけど染みこんでるかどうかは微妙かな。でもこれ、いい匂いなんだな。とにかくそれがいいね。今までこんなにいい匂いのものをつけたことなかったからね。なんだか心地よい。化粧水はすぐに乾いたりしないので、しっとりと濡れた感じ。でもそのままほおっておくわけじゃなく、すぐに3つめの乳液の出番。
乳液って、要はクリームで、保湿された状態の肌をコーティングして保護するんだね。これは多少ベタベタ感があるけど、きっと乾燥を防いでくれるんだろうな。ここまでやるとスキンケア終了。なんだか自分の顔をしっかり手入れしたようで気持ちいいし清々しい。別に美しくなんかなってないけど、気分がいいっていうのは運気にも影響するかも。
スキンケアが済んだら、BBクリームなるものを塗ってみる。これは肌の色をしたクリームで、僕は顔のシミになってる部分にちょっとだけ。そうするとシミが見えなくなる。まわりをぼかすように塗れば境目もできない。ここまでやると、もうメイクアップに足を踏み入れてるんだけど、肌がフラットになるとホントに若返る。おそらく僕に会った人たちはほとんど気づかないだろうけど、自分がはっきりとその違いを認識できるので気分は上がるね。だから思った。化粧って自分のためにいいなって。思うほど他人は男の顔なんて見てくれてないものだしね。
中高年はシミもシワも増えて、鏡を見るたび寂しくなると思うけど、そんな中高年の男性こそスキンケアとほんのちょっとの肌メイクをするといいかもね。ホントに気分が変わるから。そしてもうひとついいことが。スキンケアを大急ぎでやったとしても、2分はかかるかな。化粧水には時間をかけたいから長ければ3分とか。それを実感するとね、女性が化粧に時間をかけてることを理解できるようになるよ。ていねいに化粧をしたくなる気持ちもわかるしね。これも収穫。鏡の前に長くいる妻を気長に待ってあげようと思う。