世の中の「仕事」に対する認識はネガティブな感じが多いんだろうね。やりたくないことを我慢してやってるみたいな。「働くっていうのは辛いこと」とかね。そんな人が多いと思える中で、僕らの仕事は意識の持ち方次第でけっこう楽しくなれるから、こんなに幸せなことはないな。
ベストなのは「仕事=遊び」の状態になることだね。遊び心のある人がこの業界でうまくいってると思うし。僕は子どものころ学校の勉強が苦手だったけど、図工の時間だけは大好きで、「来週は○○を作ってもらうよ」なんて先生が言ったら、その日のうちに家で完成させたりしてた。
でも高校生ぐらいになると、公務員だった父親から「絵なんかで食っていけるわけないんだから、公務員になって週末に趣味で描けばいい。」なんて言われたので、悔しいからしっかり反抗することに。出来るわけないって言われると火がつくよね。それで専門学校に行ったら一般的な「勉強」はなくて作ることばかり。課題も家で遅くまでやり続けるんだけど楽しいと時間も忘れるよね。これって別に頑張ってるわけじゃない。頑張るって、なんだか無理してる感じでしょ? 苦しいし。だから人に「頑張れ」ってなるべく言わないように気をつけてる。無理しろって言ってるようでイヤだからね。面白いゲームしてたら夜中になってた、みたいな経験はみんなあるよね。あれ別に頑張ってないし。やっぱり「楽しもう!」なんだよな。
好きなことを仕事にできたから自分は恵まれてるなと思うけど、これからはAIがいっぱい作業してくれるし、楽しいことを仕事にする世の中になるよね。ITも浸透してきたので、発信さえうまくすれば大きな会社に長く勤めた人でも「ホントにやりたかったこと」で生きていける可能性があるし。これが風の時代ってやつかな。
「こんなに楽しい時間を過ごして、さらにお金がもらえるなんて申し訳ないぐらい」なんてたまに思ったりもするけど、若いころに下積みと修行の時間をたっぷり味わってきて今がある。たくさんの本やパソコンや講演会や、有名なデザイナーの方に会うための旅行なんかにお金をかけてもきた。東京に行けば百貨店の食品売場で気になるパッケージの商品を買いあさってスーツケース一杯分ぐらいは持ち帰ってきたし。そんなふうにデザインのことばかり考えて自分に投資してきたこと自体もとても楽しかったね。でもようやくその分を回収中なので、クライアントのみなさん、どうぞよろしく。